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2010/09/09

The significance of significance

統計学者は、“significant” の前に “highly” の様な副詞を使用する事はありませんが、統計学者以外の研究者は、 “significant” 、 “highly significant” を P つまり、いくつかの雑誌は “We noted a significant difference between control and treated samples (P ではなく、 “We noted a difference (P = 0.027) between control and treated samples.” と言う形の記述を推奨しているのです。 この様な表記法は、読者の解釈に、より自由度持たせる事が出来ますが、今まで科学分野の中では当たり前に使われて来た言葉を避けて論文を書こうとするあまり、論文が読み辛くなってしまう恐れもあります。 科学者は、研究結果をあるがまま読者に伝える為には、論文の読み易さを犠牲にするべきなのでしょうか? 「統計的に重要」をその他の点の重要と混同してはならない 次に “insignificant” と “non-significant” と言う単語について考えてみましょう。これらの2つの単語は、どちらも日常会話の中で「重要ではない」、「取るに足らない」と言う意味として曖昧に使われがちです。“significant” も同様に日常会話の中では曖昧さがありますが、「P」の価値を明確に引用すれば、その様な曖昧さは回避する事が出来ます。科学者は「違いが重要ではない」イコール「重要ではない」ではない事は、良くわかっています 。実際、重要ではない発見が、研究結果全体に大きな影響を及ぼす事もあります。この様な曖昧さを排除する為に、従来の表現に代えて明確な数値に基づく発表をするべきだと言う議論がされていると考えられます。  とは言え、この様なニッチな単語/表現も、統計学者以外のボキャブラリーの中では「あり」でしょう。これらの使用が一般的に認められ続けていると言う事が、その何よりの根拠です。現時点での最善策は、結局、この様な言葉の使用法についての議論が尽くされるまでは、雑誌ごとの各々の基準にあわせる事ではないかと思われます。

2010/06/19

Tips on getting published

Science誌(リジェクト率90%!)の編集者が語る科学系学術誌での論文発表のヒント 論文をアクセプトに導くためにおおいに参考になる記事を、Science誌の副編集長Katrina Kellerが書いています。Science誌に寄せられる年間12,000報もの論文のうち90%がリジェクトされており、この記事のアドバイスは読む価値があります。 「Science誌の編集者として、優れた論文とは、革新的な研究結果を提示しているものだということは良く承知しています。しかしまた優れた論文は、その内容を明確で論理的な筋道に従って語っていなければなりません。論文の背後にある思考が明確だからこそ、文章も明確になります。優れた研究論文を書くには、戦略的な考え方、トレーニンング、そしてノウハウが必要であると思います」 「提出する論文のクオリティは最高に磨き上げましょう。読者は、発表された論文のクオリティによって、その背後にあるレベルの高さを判断するものです。投稿先の編集者や査読者も同様です。書き方が雑駁であると、綿密に行われた実験も台無しになってしまいます。論文の原稿にはケアレスミスがないことが重要です。また、形式を軽視しないこと。文章が明瞭/簡潔に書かれ、スペルミスや文法上の間違いがなく、さらに論理が歯切れよく明快であることがとても重要なのです」 この記事の全文は、下記でご覧いただけます。 もっと知りたい方はここをクリック。

2010/03/30

Should peer review be revamped?

査読者は横暴ではないか? 改善の余地はないのか? 査読する側(査読者)も査読される側(著者)も、これで良いと言えるほどの経験を持ち合わせていない。Kevin Dewalt は、査読者に対する10大クレームをリストアップし(下記を参照)、その改善策を考察している。 クレームには次のようなものがある。 潜在的に感じた、査読者と著者の利害の対立。査読者も著者も、発表内容から何らかの影響を受ける人物や団体と関連している可能性がある。 査読者は、一般的に派閥や学閥などとの関わりで選ばれる傾向にある。新規のアイデアはこれらの派閥外から出てくることが多いのだが、往々にして既存の体制により却下され、発表に至らないことが多い。素晴らしいアイデアが日の目を見ないことも珍しくない。 優先権は、新理論を考え出した人ではなく、コネのある人に与えられることが多い。 査読および査読者が「査読」されることがない。偏向したあるいは浅薄な批判的査読の結果を受け取った著者は、これに対して反論をする機会も与えられず、別の査読者のコメントを求めることもできない。 このような現況を打開する方策はあるのか。ひとつの案は、論文をインターネットのブログ形式で発表するというものである。そこでは誰でも著者に対して賛同、批判、あるいは質問を投稿し、論文への反応を示すことができる。あるいは派閥的な偏向をなくすために、査読者を精査する組織を設置するのも一案である。どちらの提案も、従来の査読システムに風穴を開け、あるべき方向へと新風を吹き込むことだろう。 もっと知りたい方はここをクリック。

2009/10/11

Manuscript vs reviewer

ジャーナルへ投稿された論文のアクセプトの可否は、査読者の判定でほぼ決まります。 Kliewerらは、American Journal of Roentgenology (AJR)誌上で、アクセプト可否の決定には「論文の内容そのもの」と「査読者の特性」が関連していると述べています。論文の内容については、科学的な重要性、レベルの高さ、提出国などが重視されています。一方、査読者の特性に関しては、年齢と研究者としてのランクが大きな因子です。 科学的なレベルの高さが重要であることは自明ですが、提出国が関係するのはなぜでしょうか。調査期間中にAJR誌で査読された論文(196報)のうち、23.5%が北米、12.8%がヨーロッパ、2.5%がアジアから提出されたものでした。リジェクト率は、北米の論文は37.2%、ヨーロッパのものは59%、アジアのものは80%でした。各地域からの提出論文数とリジェクト率は、比例していません。Kliewerらは、北米以外の国からアメリカのジャーナルに投稿された論文は、「書き方と議論のスタイルが標準的でなく、それが足かせとなっている」可能性がある、と示唆しています。 論文の内容関連では、科学的重要性が最も中心となりますが、では査読者は、主題が妥当かどうかをどのようにして判断するのでしょうか。実はこの部分で、査読者の特性が絡んでくるのです。Kliewerらは、査読者の年齢が高く、研究者としてのランクが高いほど、査読が厳しくなることに気づきました。評価が偏向している可能性があります。つまり「自分の経験や信念と一致している視点やデータに対して好意を示す傾向」です。査読者が高齢なほど、主題を妥当でないとして却下する傾向があるのに対し、若い査読者ではよりオープンな傾向になると思われます。 この報告は、査読者の特性が論文そのもののクオリティと同様に重要であることを示しています。上述のAJRへの投稿論文(196報)の統計的評価によると、ばらつきの原因の16%は査読者の特性によるものでした。これに対し、論文の内容によるばらつきは7%でした。そして原因不明のばらつきは77%。このように、論文の評価には多くの未知でコントロール不能な因子が関与しています。7%に関しては、科学的なレベル、優れた英語、主題の妥当性により、有利となるチャンスが与えられるわけです。

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