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2008/12/08

Paper inflation

DMCでは先日、腫瘍学の主要雑誌に投稿された論文について相談を受けました。その論文は正式論文として書かれたものですが、扱っている腫瘍の症例数が多くありませんでした。査読者からは次のコメントが届いていました。 "The present report suffers, however, from some serious problems. There is no remedy, at the present time, to the limited number of ... cancer cases but, at least, the authors should avoid too many sub-group analyses” 著者は、サブグループ分析のいくつかを削除し、図をまとめ、考察を短くして短報として再提出するよう要求されたのです。 このケースは「DMCが校正依頼を受ける論文の多くは、短報にしたほうがより良いのではないか」と私が常々感じていることを裏付けるものでした。これは腫瘍学に限ってのことではなく、すべての分野の論文について言えることです。データの量からすると冗長過ぎる論文もあります。これは経済的なインフレ同様、'paper inflation’=論文のインフレと言えると思います。ページ数が多い論文は、読む側の時間と精神的労力(精神的な¥とも表現できます)を浪費するばかりで、十分な「対価」を与えません。このインフレは、論文の考察の部分で顕著です。 一般的に正式論文(フルレポート)は、決まった様式で書かれます。最近は多くの雑誌で短報を掲載しないため、論文著者は必然的に長い論文を書くに至ります。ジャーナルの出版社はアクセプトする論文の様式を見直す時期に来ているのではないでしょうか。もちろん、論文の様式はそのデータに合う形にするべきであって、「まず様式ありき」のような本末転倒ではいけませんが。 上述の論文については後日、短報に書き直された原稿と査読者への回答文をDMCがチェックすることになるでしょう。その論文は、短報として間違いなく主要雑誌にアクセプトされると思います。

2008/07/17

Open access: Who pays the cost?

オープンアクセスは、すべての人々に広く科学情報を普及させるために考え出されたものです。科学情報が自由に入手できれば、世界中の人々が様々な恩恵を受けられるでしょう。しかし、オープンアクセスにかかる費用は一体、誰が負担するのでしょうか? 現在、オープンアクセスを実施している多くのジャーナルをみると、費用は最低限ながら、著者が負担している場合が普通です。著者たちは、アメリカ国立科学財団やウェルカム・トラスト等の機関や、 所属大学や一般企業等の組織から得た研究助成金からその費用を捻出しているのです。ウェルカム・トラストによれば、論文の著者が負担する費用の平均額は1件あたり500 - 2500 USドル、 また、出版社支援協会によれば、論文投稿料500USドルに加えて、2000USドルから最大4700USドル にも及ぶ加算があると言われています。また、オープンアクセスではないジャーナルに出版をした筆者には、一定の費用負担で、自分の業績をオープンアクセス化できるオプションが与えられます。資金源のない著者には救済措置がある(費用がしばしば免除される)ことも忘れてはなりません。 残念ながら、著者の負担金ではオープンアクセスジャーナルの維持管理コストを賄うのには不十分です。出版社の多くは補助金を得たり、広告主やスポンサーに頼ったりしなければなりません。そこで、 Hindawi のようにハイブリッド的な手段を用いる出版社も出てきました。一方で支援者の基金を元に収入が確保できるジャーナルを確立し、オープンアクセス雑誌によって生じる不足金を補っているのです。 Hindawi は、将来的には彼らが出版しているすべての雑誌をオープンアクセスにしようとしています。しかしそれは、科学分野に携わる者全員が知恵を出し合ってオープンアクセスの打開策を見つけることにより初めて実現できるのです。例えば、現在 雑誌の購読料として図書館や企業から支払われている費用を、 研究助成金と著者負担金に名目変更することで実現する可能性があると思われます。そうすれば、現在購読料を支払っている機関は、今以上の情報料の負担を負うことなく、誰もがアクセスできるようになるでしょう。   Article written by Guy Harris

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