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総称的な対象に冠詞を使う
総称的な「対象」が指すのは特定の物ではなく、ある物一般であったり、物の種類です。 総称的な「対象」には3種類あります。それぞれの違いはわずかで、種類によって“the”や“a”を使ったり、まったく冠詞を使わなかったりします。
1.不特定な物1つで総称的対象を表す:不定冠詞“a”を使う その総称的対象(種類)の中の不特定な物1つに、総称的対象全体を代表させる形で表現されます。
例)An adult can lose half a liter of blood without ill effect. →「大人は半リットルの血液を失っても悪影響を受けない」
言い換えれば、「大人というものは、半リットルの血液を失っても悪影響を受けない」という意味です。この種の「対象」には“a”を使います。
2.複数の物で総称的な対象を表す:定冠詞なしで複数形を使う その総称的対象(種類)に属する不特定の物すべて(つまり複数)に、総称的対象全体を代表させる形で表現されます。
例)Adults can lose half a liter of blood without ill effect. →「大人たちは、半リットルの血液を失っても悪影響を受けない」
これも言い換えれば、「大人というものは、半リットルの血液を失っても悪影響を受けない」という意味です。総称的な「対象」を複数形で表した場合、冠詞は必要ありません。
3.他の総称との区別で表す総称的な対象:定冠詞“the”をつける 総称的な「対象」(種類)を、関連する異なる総称との対比を暗示して、表現します。
例)The adult can lose half a liter of blood without ill effect. →「大人は、半リットルの血液を失っても悪影響を受けない」
この文は、大人「だったら」こんなにたくさんの血を失っても大丈夫だが、子供ならば悪影響があるという対比を暗示しています。
不確定な対象に冠詞を使う
不確定な「対象」とは、特定の物ではあるが、文脈の中でその物ならではの固有性について、次のいずれかである場合です。
- 初出であるために特定できない
- 特定することは重要でない
こうした「対象」は不確定なので、名詞には“a”が必要です。2つのタイプがあります。
1.初出の不確定な対象
ある名詞が文中に初めて出てきた場合の「対象」です。
例)The absorption of iron is an active process. The process occurs in the lower part of the small intestine. →「鉄分の吸収は能動的な過程です。その作用は小腸の下方部分で生じます」
上の例文では、1文目に“process:過程”と言う名詞が初めて出てきます。読者は、その時点ではまだその名詞の「対象」を特定できないので、名詞に “a”が要ります。しかし2文目では、“process”がどういう“process”のことを指しているのかは、1文目にすでに出てきているので、2文目のprocess”は確定されたと考えられます。
2文目のprocess”に関しては、その前の叙述が「対象」を確定しているので、“the”が要ります(次項をご覧ください)。
2.文脈上、不確定な対象
その「対象」ならではの固有性が文脈上重要でない場合、確定する必要はありません。
例)It was too far to walk, so we took a taxi. →「歩くには遠過ぎたので、私たちはタクシーに乗った」
確定した対象に冠詞を使う
確定した「対象」とは、特定の物であり、その物ならではの固有性が分かっている「対象」です。それらは確定されているので、名詞には“the”が必要です。
確定した「対象」には5種類あります。
1.特殊な「対象」
特殊な物と考えられる「対象」で、そうした名詞は、たとえ初出でも確定されます。
例)the 1980s, the moon, the liver, the brain→1980年代、月、肝臓、脳
2.名詞の前にある修飾語によって確定される「対象」
名詞の前にある情報が、その「対象」を確定します。
例)the biggest difference, the only explanation, the final draft →「最大の違い、唯一の説明、最終の原稿」
これらの例では、名詞を修飾する形容詞が、その名詞の「対象」を唯一の物に限定しています。例えば、「最大の」物は1つしかありえません。
例)Treatment is expensive. The most expensive treatment is surgery. →治療は高額です。最も高額な治療は手術です。
論理的に、「最も」高額な物は1つしかありえないので、その「対象」となる名詞「手術」は確定されます。
3.後ろにある修飾語によって確定される「対象」
前にある修飾語によって確定される「対象」と似ていますが、この場合は名詞を確定する情報は、その名詞の後ろにあります。
例)The construction of the Eiffel Tower was difficult. →エッフェル塔の建設は難事業だった。
例)Absorption in the small intestine can be active or passive.The absorption which we report in his paper is active. →小腸での吸収は能動的にも受動的にもなりえる。彼の論文の中で私たちが論じている吸収とは、能動的な吸収のことです。
たいていの場合、名詞を確定する情報は、“of…”と言う形(“of the Eiffel Tower”)か、関連節(“which we report in this paper”)の形で存在します。
注:ここでは詳しく論じませんが、私たちは文章を短くしたい時に、すでに特定された対象に対して使われる“the”を時々省略することもあります。例えば、単に 例)Construction of the Eiffel Tower was difficult. →「エッフェル塔の建設は難事業だった」と言うこともあります。
4.前述した内容によって確定される「対象」
これは「初出の不確定な対象」の補足にあたります。すでに話に出てきたものは、「対象」が確定してい ると考えられ、名詞には“the”が要ります。
例)The absorption of iron is an active process. The process occurs in… →鉄分の吸収は能動的な過程です。その作用は・・・
5.文脈上、 確定される「対象」
修飾によって「確定」したり、前もって言及したりしなくても、文脈の中で固有性が分かる「対象」です。
例)Close the door, please.→そのドアを閉めてください。
こう言った人・聞いている人は、どのドアが「対象」になっているのか、正確に分かっているので“the”をつけます。
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