ジャーナルと編集 Part 1. ジャーナルの要件を理解していなかったジャーナル編集者

弊社で校正を行った論文が、ある有名な出版社のジャーナルにアクセプトされました。国立がん研究センター及び厚生労働省に所属する2名の著者は、弊社について論文の謝辞セクションに下記の記載をしていました。

We appreciate Guy Harris of DMC Corp. (www.dmed.co.jp) for assistance with English language editing of the manuscript

しかし、ジャーナルの編集者から著者宛のアクセプトメッセージの中に、次のような記述があったのです。

Please delete this. Such mentions about English editing cannot be left in the paper.


そのため著者より、「謝辞を削除しても良いか」と弊社に確認の連絡が来ました。

そこで弊社がジャーナルのサイト上にある、著者の要件ページを確認したところ、次のことがわかりました。

Those who contributed to the work but do not qualify for authorship should be listed in the acknowledgements. More detailed guidance on authorship is given by the International Council of Medical Journal Editors (ICMJE).

このリンク先のページ:ICJMEのガイダンスには次のように記載されています。

3. Non-Author Contributors

Contributors who meet fewer than all 4 ... criteria for authorship should not be listed as authors, but they should be acknowledged. Examples [include] ... writing assistance, technical editing, language editing, and proofreading.

上記ジャーナルの要件より、ジャーナルの編集者が間違っていることは明らかであり、校正者の名前を含む謝辞の記載は認められるべきなのです。

この食い違いについて著者にお伝えしましたが、最終的には著者が決定することですので、削除されたとしても弊社が異議を唱えることはありません。

しかし、ジャーナルは自身のポリシーをきちんと理解し、謝辞を残すことを許可するべきではないかと思います。

 

PS. その後、著者は謝辞の記載を許可するようにジャーナルへ再度要求しました。するとジャーナルの編集者から下記の回答が来たのです。

Company is not allowed, but you can mention the English editor, so we deleted “DMC Corp. (www.dmed.co.jp)”.

「ジャーナルと編集 Part 2」では、ジャーナルのアプローチが利益相反になっている件についてお伝えしたいと思います。 


年末年始の営業予定につきまして

カテゴリー: DMC News

恐れ入りますが、弊社の年内の営業は12月28日(月)18:00まで、年明けは1月5日(火)より通常営業致します。
休業期間中お急ぎの英文校正のご依頼がございます場合は、
弊社インフォメーション .(JavaScript must be enabled to view this email address) 宛に、
件名の最初に ‘URGENT’ を付け加えた形でメールを頂ければと存じます。

尚、誠に恐れ入りますが、上記休業期間中は、
インフォメーション宛にご連絡を頂きましても
翻訳(英訳/和訳)並びにご請求書類/領収書等の発行を承る事は出来ません。
ご了承下さいます様よろしくお願い致します。


語数制限の極めて当然なトレンドの始まり?

長年に渡り論文雑誌は投稿される論文の単語数を厳しく制限してきました。実際に一部のオンライン投稿システムでは、投稿される論文の単語数を自動的にカウントし、たった一語であっても制限を超えるものは受け付けない様です。論文の著者はその様な制約を十分に承知しており、語数制限を守る為に非常に苦労をしています。

紙の雑誌がメインだった時代は紙面に限りがある為、語数制限も理解できる話でした。
しかしオンライン出版の今の時代、単語数を厳しく制限することはさほど重要ではないように思えます。

そんな中、大手出版社による非常に進歩的な(私見ではありますが)取り組みを見つけ、非常に驚くと同時に非常に喜ばしい事だと感じました。

Word count: please note that our word counts act as a guide only. Longer papers are acceptable, and abstracts are permitted to exceed 250 words (up to a maximum limit of 550 words). We encourage authors to add as much important detail as necessary to the abstract.

これは、ある論文誌の編集長と著者との間で個人的にやりとりをしていた際に書かれていたものです。同誌のオフィシャルな著者向け投稿規定では、上に書かれている様な語数超過は認められていません。ゆえに誌名の記載は差し控えますが、最後の文章を良く見て下さい:

We encourage authors to add as much important detail as necessary to the abstract.

紙面の制限がないオンラインの時代には、これはとても合理的な取り組みのように思われます。規定上の制限と実際の制限では、250 wordsと550 wordsという大きな差があることに注目して下さい。複雑な研究内容を発表する著者にとって、この柔軟性は論文誌選びのひとつの重要な要素となると思われます。他の論文誌も、これに続くことを祈りましょう。

弊社では、お客様(論文著者の皆様)に必要に応じて単語数の制限緩和を求めることをお勧めしています。
下記の例文がお役に立つと思います。どうぞご自由にお使い下さい。
(ご利用される際は、文中の単語数を適宜変更の上、論文投稿の際カバーレターの最終段落の直前に追加して下さい。論文全体の単語数に言及したい場合は、文中のAbstract をover all manuscript に変えて下さい)

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Although the journal has a word limit of 250 words for the Abstract, we have found that meeting this limit is difficult, and we have had to remove some important detail that we would rather include. We therefore request that we be permitted to increase the word length for this paper to about 300 words.

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テキストリサイクリングについて - 日本の主要ジャーナルの編集者の見解

iThenticateの類似性指数に関する弊社の以前のブログ記事について、とある日本の上席研究者からフィードバックを頂く事が出来ました。その研究者はある主要な日本のジャーナルの編集者であり、非常に多数の論文を発表しています。故にジャーナルの編集者として、また同時に論文の著者として、両方の立場から自己盗用の問題について考察する事が可能です。以下が頂いたフィードバックになります。


テキストリサイクリングについて

自身の原著論文記述のリサイクリングについては、事情が複雑である。悪質かつ確信犯的リサイクリングについては、全く事情が異なるので、ここでは議論しない。問題は、自身や研究グループから既に掲載された論文と同じ研究集団などを用いて解析しているようなケースである。
メソッドの記述については、ジャーナルによって、引用文献を明記すれば許容するものもあれば、記述自体をクロスチェックなどの剽窃チェックアプリで同一と見なされない程度にまで改変しないと、査読を進めてもらえないジャーナルも存在する。そのため、このような多様性に慣れない時期には、テキストの書き直しを指示されて、不快な思いをさせられ、修正のために時間を浪費してしまうことも多い。特にNon-Nativeの著者にとって、英語の文章を、意味を変えないで別の言い方に改めるのは、相当大変な作業である。Non-nativeの場合、自身の過去論文と同じ記述を使いがちになり、ジャーナルから指摘される、ことを繰り返すことになる。
ではどうしたらいいのか、ということであるが、今のところは、予防するしか方策はない。引用文献を明示していたとしても、少しでも文章を言い換えて、クロスチェックなどの剽窃チェッカーで投稿前に指摘されないことを確認してから投稿するしかない。
この手の問題は、著者にとっては、労力の増える面倒くさい問題と考えている人が多いだろうが、ジャーナル側にとっても、剽窃のあった論文を掲載した場合のジャーナルのとらなければならない対応が面倒であり、また、その記録を消すことはできないため、なんとしても防ぎたいという気持ちがあっての対応である。いずれにせよ、著者はジャーナル側とこの点で戦うのは大変なので、事前にチェックして、剽窃チェックアプリでクリアされた原稿を投稿するという戦略がよいのではないか。
ちなみに、これをチェックしても、本当に悪質なプレージャリスムはなかなか検出できないものである。真の悪を捉えるために、悪意のない不注意者がたくさん網に引っかかってしまう、というのが、本当の問題である。


宇宙で最も重いもの


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