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【文章に必要な条件1】概念は正しい価値序列に従って表現する

「価値序列」とは、関連する概念の重要度の序列です。

2つの関連する概念について論じる場合、それぞれの相対的な重要度を考えなければいけません。2つの概念は同じくらい重要か、それとも一方が片方よりも重要か。また重要度に差がある場合、その差はどの程度あるのか、といったことです。

等位の概念 VS 従属的な概念

等位の概念

重要性が同程度の概念を “coordinate, 等位関係” にあると言います。[co]は「等しい」もし くは「一緒に」を意味し、[ordinate]は「順番」・「順位」を意味します。前述の法則5、6、7で述べたように、文中で等位関係にある概念は、セミコロンや6種類の等位接続詞(and, but, yet, for, or, nor )を使って接続します。

従属的な概念

重要度に差がある概念同士は “subordinate” (従属)と “main” (主)と呼ばれます(ここでは単純に “subordinate” =「従属的」を用います)。 前述の法則6、7で定義したように、文中で従属関係にある概念を結ぶ接続詞の種類には、副詞的接続詞と従属接続詞があります。

「文章に必要な条件1」に従うと、「等位の概念」と「従属的な概念」をそれぞれ表す際のルールが見えてきます。

等位概念のルール

概念の重要度が同等の場合は、等位構造を文章を用いて表現する。

従属概念のルール

従属関係にある概念は、主従構造の文章で表現する。

価値序列−「従属のルール」のケーススタディ

以下に、ジョンという人物に関する2つの情報があります。ただし、情報1の方が情報2よりも重要である点に注意してください。

情報1:ジョンは重病である 情報2:ジョンは45歳である

この2 つの情報は従属的な関係にある(情報1>情報2)という点に注意しながら、2つの内容を1文で表現する場合、どのような選択肢があるでしょうか?

  1. John is 45 years old and extremely sick.
    →「ジョンは45歳で重病である」

  2. John, who is 45 years old, is extremely sick.
    →「45歳のジョンは、重病である」

  3. John, who is extremely sick, is 45 years old.
    →「重病のジョンは、45歳である」

  4. John is 45 years old; moreover, he is extremely sick.
    →「ジョンは45歳で、そのうえ彼は重病である」

  5. John is an extremely sick 45-year-old.
    →「ジョンは重病の45歳である」

  6. Extremely sick, John is 45 years old.
    →「重病で、ジョンは45歳である」

これらはすべて文法的な間違いはありませんが、「概念は正しい価値序列に従って表現する」という「文章に必要な条件1」を満たすのはこの中の2番だけです。

1. John is 45 years old and extremely sick.
→「ジョンは45歳で重病である」

法則5参照:“and” は等位接続詞なので、この2つの情報は同じくらい重要であるという表現になり、これでは主従関係が表せません。

2. John, who is 45 years old, is extremely sick.
→「45歳のジョンは、重病である」

法則2参照:比較して重要でない情報が従属節に、より重要な情報が独立節になっており、 主従関係を表すのに正しい表現方法です。

3. John, who is extremely sick, is 45 years old.
→「重病のジョンは、45歳である」

法則2参照:比較して重要でない情報が独立節になっており、一方もっと重要な情報が従属節になってしまい、表したい内容と主従関係が逆になってしまっています。

4. John is 45 years old; moreover, he is extremely sick.
→「ジョンは45歳で、そのうえ彼は重病である」

法則6参照:“moreover” は副詞的接続詞なので、この2つの情報の重要度はほぼ等しいという表現になり、これも主従関係が表せていません。

5. John is an extremely sick 45-year-old.
→「ジョンは重病の45歳である」

法則1参照:「節>句」の法則に反し、重要でない情報が節になり、重要な情報が句になってしまっており、表したい内容と主従関係が逆になってしまっています。

6. Extremely sick, John is 45 years old.
→「重病で、ジョンは45歳である」

法則1参照:これも「節>句」の法則に反し、重要でない情報が節になり、重要な情報が句になってしまっており、表したい内容と主従関係が逆になってしまっています。

常識的に、ジョンの「病気」は彼の「年齢」よりも大事な情報であると考えられます。つまりこの2つの情報には価値の序列があるため、結合する際には「従属概念のルール」を採用すべきです。

より重要な情報を、文中のより重要な位置におくことで、論理に即した表現となります。「文章に必要な条件1」を守ることは、書き手と読み手の双方の利益となります。「文章に必要な条件1」は、書き手が最良の文章構造を選ぶ際の指針となり、またこの条件1に従った文章は、読み手が容易に内容を把握することができます。

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