名詞の「対象」と「確定」

名詞の3種類の「対象」

英文法でいう指示対象(名詞が指し示す物、以下「対象」)は、3種類に分類できます。

1. 総称的な「対象」:ある物一般、あるいは物の種類を表す。

例)A man should always wear nice clothes.→「人というものは、いつでもきちんとした服を着るべきだ」

名詞が総称的な場合、あるいは物の種類を表す場合は、その種類によって、“the”や“a”が必要な場合も、まったく冠詞を使わない場合もあります。

2. 不確定な「対象」:物の総称や種類ではなくある特定の物を表してはいるが、その物を特定する固有性が文脈上、不明もしくは重要でない。

例)A man called me today.→「今日(知らない)男性が私に電話をしてきた」

一般的に、冠詞“a”は、こうした不確定な対象に使います。

3. 確定した対象:物の総称や種類ではなくある特定の物であるという点では不確定な「対象」と同じだが、さらに文脈上、その物の固有性が分かる=確定できる。

例)The man’s name was John.→「その男性の名前はジョンといった」

一般的に、冠詞“the”は、確定した対象に使います。


これら3種類の「対象」は、さらに下位の種類に分類されます。
それぞれの詳細を述べる前に「確定」という概念と、名詞がどの「対象」にあてはまるのかを確定するプロセス、さらに様々な種類の名詞にそれがどう適用されるかを見ておきましょう。

名詞の対象と「確定」

確定とは、名詞の対象を明らかにするための過程のことです。
名詞を確定するには様々な方法があります。下に2つ例をあげてみます。

◆文脈から確定する方法

例)I stayed home and watched the television.→「私は家に残って、テレビを見た」

この場合には文脈の中の「home:家」が「television:テレビ」と言う名詞の対象を確定しています。
つまり、この文脈における「テレビ」は「私の家のテレビ」であり、それ以外のテレビを指しているとは考えられません。
このように、文脈によって名詞の「対象」が確定される場合があります。

◆名詞を修飾する情報によって確定される場合

例)The construction of the Eiffel Tower was difficult.→「エッフェル塔の建設は、大変な事業だった」

「of the Eiffel Tower:エッフェル塔の」と言う情報が「construction:建設」という名詞が指す「対象」を確定しています。つまり、この建設は数ある建設の中でも、エッフェル塔の建設という 特定の建設のことを指しています。このように、修飾語の情報によって名詞の「対象」が確定される場合もあります。

以上2つの例の名詞が指し示す対象は、特定の事象なので、この2つの対象は、確定的な種類の対象だといえます。

確定と4 種類の名詞

名詞には、固有名詞、可算名詞、不可算名詞、両面名詞(可算・不可算両方になりうる名詞)の4種類があります。それぞれの名詞は異なる方法で確定されます。

• 固有名詞
 場所、人物、国などを表します(例:パリ、ジョージ・ワシントン、ノルウェー)。

論理的に、固有名詞の指示対象はただ1つしかないものなので、確定する必要がありません。 よって、固有名詞に冠詞は要りません。

• 可算名詞
 数えられるものを表します。言い換えれば、一般的に明確な形をもっているものや、明確な始まり・中間・終わりがある事象などです。

可算名詞には、物理的な物(例:木、飛行機)と、観念的な物(例:過程、意見)があります。
可算名詞となる可能性がある「対象」は複数あるため、その中のどれを指すのかを確定する必要があり、ゆえに冠詞も必要です。

• 不可算名詞
 数えられないもの、指し示すことができないものを表します。

言い換えれば、明確な形をもたないもの(例:砂)、抽象的な概念(例:幸せ、家具)、連続的な過程(例:呼吸、落下、汚染)、学問の分野(例:経済学)などを表します。これらは、何か特定の物を指すというよりも、物の種類や分類を表しています。

例)Construction is an important industry.→「建設業は重要な産業である」

この場合の「建設業」は、あらゆる種類の建設業、もしくは建設業という概念を指しています。不可算名詞は特定の物を対象としないので、確定する必要はなく、冠詞も要りません。

• 両面名詞
 両面名詞は、その文の中で何を「対象」とするかによって、不可算名詞にも可算名詞にもなりえます。

例)Blood was collected from the femoral artery. Plasma was separated from the blood by centrifugation.The plasma was stored at -20oCuntil assay.
→「血液は大腿骨の動脈から採取された。その血液から、遠心分離によって血漿が分離された。その血漿は分析検査まで‐20℃で保管された」

最初の「blood:血液」という名詞は体内の血液を指し、それは明確な形をもたないので数えられないものと考えられ、確定する必要はありません。2番目 の「blood:血液」は、ここで採取された血液を指しています。採取されたことにより、いまや数えられる状態になったと同時に、ほかの血液一般とは区別 できる特性も有しています(言い換えれば「ここで採取された血液」に限定される)。ゆえに確定する必要があるので、“the”が必要です。
「plasma:血漿」に関しても同じ理由で、最初の「血漿」には定冠詞がなく、2番目にはついています。これは2番目のほうが「その遠心分離機によって分離された血漿」だけを指すからです。

それでは、名詞が指し示す「対象」を確定するために、どのように冠詞を使うのか見てみましょう。

 

作者: Guy Harris

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目次

  1. 冠詞の使い方
  2. 名詞の「対象」と「確定」
  3. 対象別にみる冠詞の使い方
  4. 3種類の対象別、冠詞のまとめ