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"Could"の正しい使い方

2015年3月27日、執筆者:Courtney Cummings

基本的に科学論文とは過去形で書かれるものであり、著者は可能な限り簡潔でネイティブな表現の文章を過去形で書こうとする。そのため、~was/were able toという表現があれば語数の少ないcouldを選択するのが一般的である。
しかし、驚かれるかもしれないが、実際は、~was/were able toの使用を勧められることのほうが多い。理由は2つある。

1. Couldにはふたつの意味合いがある。“できる”という能力と条件付けあるいは未来における可能性の示唆である。以下の会話にその例をみてみよう。

  Couldの用法
1

A: “What do you want to do today?”
今日は何をしたい?

B: “Hmm, we could go to the store!”
うーんと、お店に買い物に行こうかな。

未来における選択肢を提示
2

A: “What do you want to do today?”
今日は何をしたい?

B: “We could go to the store if we had a car.”
クルマがあると買い物に行けるのだけどな。

条件が満たされれば[前提は、満たされない]そのことが実現できることを示唆
3 A: “Did you go to the store yesterday?”
昨日は買い物に行ったの?
B: “I could have gone if I’d had a car.”
クルマがあったら買い物に行けたのだけど。
上と同じく、過去に、条件が満たされていたならば[前提は、満たされなかった]そのことが実現できたことを示唆


2. “Could”はどちらかというと口語表現(話し言葉)であり、会話では“was/were able to”よりも多く使われる。反対に、“could”を科学論文に使うのは適切ではない。

科学論文において、何かが起こったという事実を強調したい時は“could”よりも“was/were able to”のほうがより自然である。すなわち、科学論文のなかで研究成果を記述する時、日本語で“…することができた”という場合は“could”ではなく“was/were able to”を使用するほうがよい。

A. 何かが“できた”ことを報告する時は“was/were able to”を使用する。

  日本語表現 良くない英語 良い英語
1 計算することができた “We could calculate the dosage accurately using our newly developed method.” “We were able to calculate the dosage accurately using our newly developed method.”
  用量は我々の開発した方法により正確に計算することができた
2 測定することができた “We could determine the concentration in plasma.” “We were able to determine the concentration in plasma.”
  血漿中濃度を測定することができた

B. 未来における可能性を記述する時は“could”を使用する(ifやpotentiallyといった可能性を示唆する語が存在)。

  日本語表現 良くない英語 良い英語
1 …であれば、…することができた “We were able to conduct further studies if our budget were larger.” “We could conduct further studies if our budget were larger.”
  もっと予算があれば、次の研究を行うことができたのだが(内容は過去の記述ではなく、未来における可能性の示唆)。
2 …であれば、…することができた “These findings were able to potentially be of use in clarifying this compound’s side-effects.” “These findings could potentially be of use in clarifying this compound’s side-effects.”
  これらの知見は、被験薬の副作用を明らかにするうえで有用な情報であると考えられる(この内容も過去の記述ではなく、未来における可能性を示唆)。