DMCのブランド名は Dmedに変わりました。続きを読む

ブログ

‘The language needs to be improved’(英語を改善する必要がある)Part 2: 科学的知識は ’peer’ (= 同等)でも、言語はそうではない

2023年12月19日、執筆者:Guy Harris

2022年7月29日投稿の当社ブログ記事にて、「論文の書き方が不十分で改善が必要」という査読コメントが来ても、実際には直す必要がなく英文に問題はなかった、というケースがあることをお伝えしました。
[ ‘The language needs to be improved’(英語を改善する必要がある)という査読コメントへの対応方法:https://dmed.co.jp/blog/how-to-handle-the-language-needs-to-be-improved-reviewer-comments]

当社としてはこのような査読コメントが非常に厄介な問題であることをお伝えし、対処する方法としてフローチャートをご提案致しました。

その記事では、良く書けている論文を「英語を改善する必要がある」とコメントする査読者の多くが、実は英語のネイティブスピーカーではないことをお伝えしました。私たちのようなプロの校正エディターが査読者のコメント文を見れば、その事実がすぐにわかります。 査読者の自己権力を高めるためにそうコメントしたのか、あるいは、まともなコメントが書けない場合の回避代替案なのでしょうか。

また、現在ほとんどのジャーナルが営利目的で英文校正のサービスを提供していることも言及しました。 著者は、良く書けている論文がなぜ「改善する必要がある」とコメントされてしまうのか疑問に思うかもしれません。それに、ジャーナルが英文校正のサービスのために投稿を募集しているのだろうかと思うかもしれません。

残念なことですが、まだ問題は続いていて、下記のように査読者 1 と査読者 2 の初回の査読コメントが矛盾しているケースがあります。

Reviewer #1: Thank you for this manuscript which I read with interest. The manuscript is well written and the statistical analysis seems sound…

Reviewer #2: Following are my major concerns.

  1. The writing is not clear enough, with poor grammar and inadequate explanation. A proof read is needed.

この査読コメントを受けて、著者は当社に次のように連絡をしてきました。

I have heard that this kind of thing is common when Japanese people submit, and I trust your company, but I would appreciate it if you could correct any grammatical errors in the parts that have no changes.

当社で論文を確認しましたが全く問題点がなく、修正の必要はありませんでした。 つまり、ネイティブスピーカーである査読者 1 は正しいコメントをした一方で、 非ネイティブスピーカーの査読者 2は間違ったコメントをしてきたのです。

しかし当社としては、著者の信頼に応えるために、論文全体をもう一度読み直さなければなりませんでした。

‘poor grammar (文法が不十分である)’という査読コメントがあった場合は、特に憂慮すべきです。 書き方や表現はさまざまで、見解によって論文のクオリティは左右されますが、文法は明確なルールに従っており、分別ある読み手にはその間違いは明らかです。 この論文には文法上の誤りはひとつもありませんでしたので、‘poor grammar (文法が不十分である)’というコメントはデタラメでしかなかったのです。

‘peer’とは、グループ内の他の人々と同等の能力を持つ人として定義されています。 査読者 2 は科学的な能力においては同等であったかもしれませんが、英語に関してはそうではなかったのです。 ジャーナル側は、著者がアクセプトされるかどうかに依存していることをよく分かっていますので、この従属関係に利用されないように注意する必要があります。 ジャーナルは、自身の英文校正サービスが、責任を持って圧力をかけることなく提供されるということを保証すべきです。

投稿された論文に対して営利目的の英文校正を提供するジャーナルは、ネイティブではない、英語の能力のない査読者による「英語についての査読コメント」に価値がないことを理解するべきです。