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テキストリサイクリングについて - 日本の主要ジャーナルの編集者の見解

2020年11月11日、執筆者:Guy Harris

iThenticateの類似性指数に関する弊社の以前のブログ記事について、とある日本の上席研究者からフィードバックを頂く事が出来ました。その研究者はある主要な日本のジャーナルの編集者であり、非常に多数の論文を発表しています。故にジャーナルの編集者として、また同時に論文の著者として、両方の立場から自己盗用の問題について考察する事が可能です。以下が頂いたフィードバックになります。


テキストリサイクリングについて

自身の原著論文記述のリサイクリングについては、事情が複雑である。悪質かつ確信犯的リサイクリングについては、全く事情が異なるので、ここでは議論しない。問題は、自身や研究グループから既に掲載された論文と同じ研究集団などを用いて解析しているようなケースである。
メソッドの記述については、ジャーナルによって、引用文献を明記すれば許容するものもあれば、記述自体をクロスチェックなどの剽窃チェックアプリで同一と見なされない程度にまで改変しないと、査読を進めてもらえないジャーナルも存在する。そのため、このような多様性に慣れない時期には、テキストの書き直しを指示されて、不快な思いをさせられ、修正のために時間を浪費してしまうことも多い。特にNon-Nativeの著者にとって、英語の文章を、意味を変えないで別の言い方に改めるのは、相当大変な作業である。Non-nativeの場合、自身の過去論文と同じ記述を使いがちになり、ジャーナルから指摘される、ことを繰り返すことになる。
ではどうしたらいいのか、ということであるが、今のところは、予防するしか方策はない。引用文献を明示していたとしても、少しでも文章を言い換えて、クロスチェックなどの剽窃チェッカーで投稿前に指摘されないことを確認してから投稿するしかない。
この手の問題は、著者にとっては、労力の増える面倒くさい問題と考えている人が多いだろうが、ジャーナル側にとっても、剽窃のあった論文を掲載した場合のジャーナルのとらなければならない対応が面倒であり、また、その記録を消すことはできないため、なんとしても防ぎたいという気持ちがあっての対応である。いずれにせよ、著者はジャーナル側とこの点で戦うのは大変なので、事前にチェックして、剽窃チェックアプリでクリアされた原稿を投稿するという戦略がよいのではないか。
ちなみに、これをチェックしても、本当に悪質なプレージャリスムはなかなか検出できないものである。真の悪を捉えるために、悪意のない不注意者がたくさん網に引っかかってしまう、というのが、本当の問題である。