科学出版で起きた問題

先頃DMCは、年2回 国内で行われているある会議の全発表論文の編集作業を行いました。その会議録は、有名な出版社によりインパクトファクターの高い雑誌に掲載されるものです。第9、10回大会の際、その出版元は当該雑誌のインパクトファクターを下げたくないという理由で、動物実験に関する論文は会議録から削除し、掲載しないと連絡してきました。多数の研究者の要請も空しく、また、会議議長が編集アドバイザーであったにも関わらず、編集長は結局方針を変えませんでした。研究者たちの落胆は非常に大きなものでした。

第11回会議の準備期間中、会議議長からDMCに相談がありました。私たちは検討/熟考の末、出版元に対し以下のように指摘しました。
まず、会議録を読む人たちは、会議で発表された全ての論文が記載されていると思うのが当然です。でなければ『会議録』とは言えません。会議で何が発表されのかと同様、何が発表されなかったのかという情報も重要です。会議録は会議の全てを網羅したものでなければ、信頼できるものとはいえません。

雑誌の編集長に会議の学術委員会の役割を決める権限などあるのでしょうか。
その会議が学術的にアクセプトすると認めた論文を出版社が排除する権利はないはずです。

これらの指摘事項を、丁寧かつ失礼のない文章の手紙にし、議長がサインをした上で出版社に送付しました。手紙には、会議の開催費用の中から出版社に相当な金額のお金が支払われている点も追記されました。

かなりの時間が経過した後、出版社から返事が届きました。内容は「動物実験に関する論文も含め、第11回会議の内容は全て雑誌に掲載する」というものでした。「カンファレンス・レポート」と言う新しい出版形式ができました。やった! 良かった! 私たちは心からそう思いました。第11回会議は滞りなく開催され、問題となっていた会議録も、もちろん動物実験に関する論文も含まれた予稿集が発行されました。

それなのに・・・・MEDLINE上に自分の論文が載っていないと知った時の、第11回会議の論文発表者のショックと失望が想像できますか? 出版社に裏切られたのです。出版社は、インパクトファクターを守るために40報の論文を雑誌に掲載しないように操作したのです。我々の知る限り、いまだにそれらの論文はMEDLINEには掲載されていません。オンラインの世界では、それらの会議がなかったことにされてしまっているのです。

これは、まさに出版社が科学の発展/利益を妨害した例といえるでしょう。




 

Article written by Guy Harris


論文における過去形の使用法

学術論文では、「結果」を表す文章は原則として過去形で書くことになっていますが、その論文中の図や表、その他の内容について述べる時は、現在形で表現しなければなりません。

× :  Figure 1 showed the ROC curve for the model.
○ :  Figure 1 shows the ROC curve for the model.

× :  The number of animals in each group was shown in the table below.
○ :  The number of animals in each group is shown in the table below.

○ :  The species examined are listed in Table 1.
○ :  The method is described in Section 2.1.
○ :  Table 1 lists the species examined in this study.

しかし、次の例のように、過去形と現在形が同じ文章内で使用される場合もあります。

Statistical differences between patients and controls were tested using the Fischer’s exact test, the results of which are shown in Table 3.

Table 3 shows that more than 90% of the subjects had no disability.


 


「contain」と「include」の使い分け

一般的に「contain」は、何かがそれよりも物理的に小さなものを入れていることを示す場合に使います。

つまり「contain」は、「内部に、あるものを包容する」という意味です。

例:

The glass contains water.
The stomach contained undigested food.
The sample contained foreign matter.

これに対し、「include」は、大きな物、あるいは大きな集合の部分としてある事項を含むことを示します。

例:

The price of the plan includes repair service. (すなわち、ここでは大きいものとは「the price」であり、それに含まれる小さい部分が「the repair service」です)
The lab animals were checked for signs of disease, including erythema, flaking skin, and swelling.
Immunological testing included antibody detection by ELISA.

注記:「including」でphraseを始める場合、その前にコンマを付けることを忘れないでください。

...were checked for signs of disease, including erythema…

「contain」と「include」の両方を同時に使用した例:

  1. 1. The x-ray of the dog’s stomach showed that it contained several foreign bodies, including nails, string, and pieces of plastic.
    • 胃袋には異物が入っていた(すなわち、胃袋の内部に異物がある)
    • この異物のグループには、釘、ひも、プラスチックなどが含まれていた(大きな集合:異物、小さな集合:釘、ひも、プラスチック)
  2. The laboratory contains many pieces of lab equipment, including microscopes, centrifuges, and sample storage refrigerators.

    • 研究室には、設備がいくつか入っている(研究室の内部にいくつかの設備がある)。
    • いくつかの設備とは、顕微鏡、遠心分離機、標本保存用冷蔵庫などである(大きな集合:いくつかの設備、小さな集合:顕微鏡、遠心分離機、標本保存用冷蔵庫)


 


簡潔に書く方法

優れた科学論文を書くためのいくつかの有用なヒントを、ミシガン大学のロッド・リトル教授が示しています。

そのひとつとして、教授は「科学論文は短いほど良い。論文は、簡潔・明瞭でなければならない」と述べています。重要な事項を漏らすことなく、しかし、できるだけ短くというのが教授の主張です。そうすることで、編集者から高い評価を得ると同時に、直に核心に触れることで、読者の強い興味を引き起こすことができます。

またリトル教授は、意味のない形容詞は省き、繰り返しをできるだけ避けるよう薦めています。そうしてできあがるのが、タイトで簡潔な、すっきりとした論文です。原稿の内容を最終的に見直した後、さらにもう一度見直しをかけ、 10%短縮することを目標に努力しましょう。


簡潔・明瞭化の例を二つ挙げておきます。

編集前: The repeated-measures design has been recognized to permit direct study of change over time within individuals, and thus considered to be a better approach than the cross-sectional study design in estimating effects of covariates.(36単語)
編集後: Unlike cross-sectional designs, repeated-measures designs permit direct study of individual-level changes over time, and effects of covariates on these changes.(23単語)

編集前: “In this section we apply our proposed models to the analysis of the data with compliance as the outcome of interest. The main objective of this analysis is to investigate how treatment preference and assignment preference affect the compliance status.”(40単語)
編集後: “In this section we apply our proposed models to the data with compliance as the outcome. The objective is to investigate how treatment and assignment preferences affect compliance.”(28単語)

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査読の質の課題

査読は、科学論文の審査における重要なプロセスです。査読の目的は、論文の質を判定することにあります。しかし、この査読のプロセスに欠点があるのではないかと言う研究者もいます。なぜなら、査読者の質にばらつきがあると考えられるからです。それでは、優れた査読者というのはどういうものなのでしょうか?査読者の能力について、経験年数や批評的な評価の経験など、定量可能な変数に基づいて判定する方法はあるのでしょうか?

 先ごろCallahamとTercierは、これらの疑問点を検証する研究を行いました。

この研究は、査読者ならびに査読そのものに優劣があることは確かだが、査読の質を左右する因子として簡単に認識できるようなものはない、ということを示唆しています。著者らは、質の高い査読が行われるためには、学術誌が受け取った査読の質について定期的にモニターすることが必須である(一般的には実践されていませんが)、と提言しています。


もっと知りたい方はここをクリック。



 


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